実は、
今、ハッティがいる姐さんの牧場の地主さんが土地を売ったので、5月にここの牧場から立ち退きを余儀なくされているのです。
馬たちの新しい引っ越し先が決まらず一時はパニック状態でしたが、やっとやっと決まったので取り合えずは一安心。
うちの馬ハッティくんはセラピーホースとしてセラピー牧場に行く日が引越しまでに決まらなければ、とりあえず他の馬たちのと一緒に新しい牧場にお引越しです。
新しい牧場は今より2倍以上も広く、家からの距離も今の牧場と変わらないので、「ハッティも新しい牧場にウエルカムだよ」と姐さんが誘ってくれました。セラピー牧場はここから大分遠いので、今、少し心が揺らいでいます。
そうこうしている間に、隣のフィールドの地層チェックが始まりました。
5月になったら、ここの牧場の鮮やかなグリーンはショベルカーで掘り起こされて、トラックやディガーがけたたましく往来し騒音と共に建設工事が始まり、そして何年か後にアグリーな建物が立ち並ぶのです。ここで馬たちがのんびりと草を食んでいたのどかな風景があった事なんか、ショベルカーに埋め立てられて忘れ去らてしまうのです。
シープフィールドの向こう側はもう、開発が始まっています。それはどんどんと押し寄せて来るのです。
イギリスの美しいカントリーサイドの風景が壊されて逝く....
...悲しいな。
それに輪をかけて悲しいことは、子馬のベイビーちゃんとの思い出の土地がなくなる事。この牧場には悲しい思い出があるけれど、その悲しい思い出の土地が壊されるのはもっと悲しい。
子馬のベイビーちゃんが天国に行ってしまったここのステイブルも近いうちにディガーに取り壊されてしまうのです。ベイビーが駆け回っていたフィールドも、ベイビーがいつも寝ころんでいた木陰を作っていた木も、切り倒されて更地にされます。
ベイビーに関係する物が無くなっていくのが辛い。ベイビーはここにいたのに。ここで暮らしていたのに。
できることならベイビーが旅立ったステイブルを新しい牧場に運びたい。
娘ちゃんが小さい頃に好きだった絵本
「ちいさいおうち」のように。
*****
可愛らしいちいさいおうちは、カントリーサイドの鳥や小動物に囲まれた自然豊かな場所に立っていました。
大きな道がついて、住宅が建ち始めその辺りは徐々に開発の波に飲み込まれて行きました。鉄道が敷かれ周りにはビルが立ち並び、時は流れて、ちいさいおうちは超高層ビルの狭間にボロボロになってもなおそこに立っているのです。
ある時、そのお家のオーナーだった子孫がちいさいおうちを見つけて、もと居たような美しいカントリーサイドにちいさいおうちを運び移すのです。ボロボロになった窓やドアは修繕されて、ちいさいおうちは再び美しいカントリーサイドで鳥や動物、自然に囲まれて暮らすことになりました。
みたいなお話です。
*****
今の現状と重ね合わさって悲しくなりました。絵本はハッピーエンドのお話しなのに。
人生色々と経験すると、ハッピーエンドのお話しも悲しいのです。
開発の波が迫りくる中、牧場のステイブルをこのちいさなおうちのように運んでも、
子馬のベイビーは帰ってきませんから。。。
悲しい....。
決して素敵とは言えないおんボロステイブルも、糞ころがしのごとく馬糞土を運んだお宝馬糞の山も、子供たちが作った基地、ブランコを吊した木も、やがて取り壊さてれて無くなります。
諸行無常。