その日は、
久しぶりにお天気で、ちょっと早めに牧場に行って、ハッティさんをブラッシングしたり、トレーニングをしたり平和な時間を過ごし、一段落ついたところでヘイ(干し草)をネットに入れてたら、
裏のMさんの牧場の方から、
ドドドドドドーーッ
と地響き聞こえて、ああ、Mさんの馬たちみんな(馬4頭)走ってるな。と思ってMさんの牧場を見ると、
馬がいない。4頭とも。
え、どこ?どこを走っているの?
と思っていたらドドドドドーーーーーっと地響きが近づいてきて、本来そこにいちゃいけないところを馬が疾走しているではありませんか!!
どうやら、Mさんとこの4頭は牧場を逃げ出して、私達の牧場をぐるりと取り囲むダダッ広い牧草を育てているフィールドを走り回っている。
ヤバい。
広大なフィールドとは言え、向こうの方まで行くとゲートも何もないので、公道に出てしまう。そして右に行ってしまうと線路があるのだ。
ヤバいヤバいヤバいヤバい。
その時、牧場にはふぉざちゃん一人。
マジヤバい。どうしよう。
すぐさま震える指でMさんに電話したけど電話に出ず、うちのベジの人に電話してMさんに連絡を頼んで、その間ふぉざちゃんはバケツに餌を入れてイバラのヘッジからこっち側近くにおびき寄せる作戦をしようとしていたところに、
見知らぬ中年の上品な女の人がやってきて、「馬が逃げてますよ。このまま向こうに行ってしまうとゲートも何も無いので馬が公道に出てしまいますよ」と知らせに来てくれた。
馬のオーナーに今連絡しているけどまだ連絡がつかなくてあたふたしているふぉざちゃんを見て、「落ち着いて。オーナーが来るまでとりあえずこちら側近くに留めておくと大丈夫だから」と助言してくれた。
その女の人が去ったあとに、すぐそばの家の牧場のオーナーのおじさんも出てきてくれて、一緒に様子を見てくれた。
ベジの人から、「Mさんと連絡が取れた。そっちに向かってるから」と連絡があり、一安心。
だけど、待っている間に馬が向こうまで行ってゲートから出てしまうと事態は大変なことになる。
ふぉざちゃん決意。
イバラのヘッジを乗り越えて、牧草フィールド側に降り立ちヘイ(干し草)ネットを持って、
餌でおびき寄せ作戦。
今思えばどうやってイバラを乗り越えたか覚えてない。
リーダー格の馬がヘイに釣られてやって来た。あとの3頭も距離を置いてノロノロついてくる。
いいぞ。グッドボーイ。おいでおいで。こっちだよ。
そのままぐるりとフィールド外側をまわって、飛び越えたと思われる、金網柵が倒れたところまで4頭を連れてきた。その距離多分600m以上はあると思う。
解説図
倒された柵部分はこっち側が低くなっていて、上から飛び越えるのは安易だが、駆け上がるのは難しそう。倒れた金網に脚が引っかかって怪我でもさせたら大変なので、ここでMさんが来るまで待機。
しばらくして、Mさんご夫婦到着。両サイドで倒れかけたフェンスを踏みつけて馬が脚をひっかけないようにして、一頭ずつ駆けあがらせて無事、事態収拾。
良かった。何事もなくて。
写真、奥右端のとこらへんから逃げた。
Mさんにレスキューしてくれてありがとうね。と言われてなんかなんか照れるなー。レスキューって言葉がなんかハッとしたよ。
無事、馬がフィールドに戻った時は、やったぞーと達成感にひたった。
まるでまるで、パイドパイパーじゃん。ふぉざちゃんの後を追って動物が付いてきてくれるのってなんかウレチイ。なんかパイドパイパーみたく特別な能力があるんじゃないかと思ったけど、馬は餌に釣られて付いてきただけ。
持ってたの笛じゃないし、んで、ネズミでもないし川に連れて行って溺死させないから。あと最後、子供連れ去ってないから。パイドパイパー(ハーメルンの笛吹き)って実話らしく、結構えぐいどー。怖いどー。
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わざわざ知らせに来てくれた見知らぬ女の人といい、最後まで付き合ってくれたおじさんといい、ローカルの人たちが馬のこと気にしていてくれて嬉しい。後でうちのベジの人に聞いた話しによると、ヘイを持ってきてくれる近所のファーマーのジャックさんからも、馬が逃げてるって連絡があったみたい、ここから結構離れてるのに、だだっ広いから見えるのね。
ポニーちゃんをお迎えしているふぉざちゃんたちにとって、ローカルの人たちが馬のこと気にかけてくれていて本当に助かります。
やっぱり、イギリスって動物のことになると半端ないわー。
イギリスのそゆとこ、しゅき❤❤❤